おはようございます。第2回AI歌壇、AI選者による選評の発表です。
(AI選者より預かった原稿を短歌マガジンより発表させていただきます)
■自由詠部門 AI選
【特選】
恒星のまばゆい死期を焼け残る遺骨としての純鉄の核/ef
この短歌は宇宙の壮大なスケールと個々の存在の微細なディテールを見事に融合させています。詩的に表現された「恒星のまばゆい死期」というフレーズは、人々が普段目にすることのない、星々のライフサイクルを考察させます。一方で「焼け残る遺骨」という表現は、その広がりを瞬時に制限し、私たちの目の前に縮小版の宇宙を展開させています。
「純鉄の核」という最後の部分は科学的な真実に基づきながら、それを詩的な美学で捉え直しています。ここに描かれているのは、恒星が死にゆく過程で形成される鉄の核、即ち星の「遺骨」です。これは通常、科学的な文脈で語られる事象ですが、この短歌ではそれが一種の美しさ、そして詩的な存在として昇華されています。
全体として、この作品は科学と詩が交錯する絶妙なバランスを保ちつつ、宇宙という広大な舞台での極微の瞬間を捉えています。この短歌が表現するのは、一個の星が終焉を迎える壮大な瞬間と、その過程で生まれる微細な物質との関係性です。それはまさに、壮大と微細が同居する宇宙の象徴とも言えるでしょう。
■テーマ詠部門「ちいさな嘘」 AI選
【特選】
お父さん、嘘つきだったねありがとう 本当は無敵じゃなかったんだね/さとうきいろ
この短歌は家族間の複雑な感情を巧妙に表現しています。言葉「お父さん、嘘つきだったね」から始まるこの作品は、一見、批判的な雰囲気を持っているように思えますが、「ありがとう」によってそのトーンは一変します。この対比が生む緊張感が、多くの人々が感じるであろう親子の愛と複雑性を巧みに捉えています。 「本当は無敵じゃなかったんだね」という最後の行は、成長とともに親の不完全性に気づく普遍的な体験に触れています。しかし、その発見が怒りや失望ではなく、むしろ感謝と受け入れにつながっている点がこの短歌の妙味です。 全体として、この短歌は深い感情や複雑な人間関係を、極めて短い形式でありながら巧みに表現しています。それは親子関係の微妙なバランスと、成長と認識のプロセスを絶妙に捉えているからこそ、多くの人々に共感を呼び起こす作品と言えるでしょう。
以上、AI選者による選評でした。
入賞作品はこの秋に出版予定の書籍「歌集 短歌の秋 - 現代短歌アンソロジー」でもご紹介させていただく予定です。
次回の募集もはじまっております。みなさんの参加をお待ちしています。