第3回毎月短歌で入賞した作品をご紹介します(2023年9月から10月頭までの応募作品)
室内の蜥蜴をそっと逃がす時ティッシュでくるみ握る生と死/宇井モナミ
特選 自由詠 北原有選
ねこそろり ふすまあけます ゆうぐれに よるをよぶのが ねこのおやくめ/とも
秀作 自由詠 北原有選
ひとりだけノルマを達成したせいでロボットなのがバレてしまった/高原すいか
秀作 自由詠 北原有選
今食べてゐるものは分らなくても自販機の釣は掠め取る父/菊池洋勝
秀作 自由詠 北原有選
フルーチェが固まるまではわたしたち家族のように過ごしましょうよ/tali
秀作 自由詠 北原有選
君のいない場所はさびしくつらかったですと言えたらどんなにいいか/赤月宙
佳作 自由詠 北原有選
制服のスカート下は短パンで怖いものなど何もなかった/円山すばる
佳作 自由詠 北原有選
飛べるのが天使で浮くのが幽霊で見たかんじだと姉貴は後者//高原すいか
佳作 自由詠 北原有選
書かれてもゐないことまで受け取つて滲んでしまふあなたの手紙/高田月光
佳作 自由詠 北原有選
見ていても見ないふりしてやり過ごす透明なきみ僕たちの罪/あおいそうか
佳作 自由詠 北原有選
「光あれ」「そこになければないですね」神はキャン・ドゥへ向かわれた/伊津見トシヤ
特選 テーマ詠「セリフの入った短歌」 北原有選
特選 テーマ詠「セリフの入った短歌」 中島裕介選
「10歳はお若いです」と血管を褒められている祖母のハレルヤ/tali
特選 テーマ詠「セリフの入った短歌」 北原有選
「ETCカードが挿入さ「していません」」ふたり叫んで祝日を発つ/石村まい
特選 テーマ詠「セリフの入った短歌」 北原有選
並選 テーマ詠「セリフの入った短歌」 中島裕介選
寂しさを隠した母の「じゃあ、また」が残って少し重たいスマホ/岡乃あや
秀作 テーマ詠「セリフの入った短歌」 北原有選
試し書き用紙のすみの「ごめんね」に「ええで」と足したブルーブラック/tali
秀作 テーマ詠「セリフの入った短歌」 北原有選
「平生のヘーゼルナッツ」「うるせえよ」なんで笑ってしまうんだろう/久久カナ
秀作 テーマ詠「セリフの入った短歌」 北原有選
質問です この歌好きって言われたら、それは広義の告白ですか/梅鶏
佳作 テーマ詠「セリフの入った短歌」 北原有選
「離れてもだいじょうぶ?」「だいじょうぶ」というふたりごと近くて遠いいつかの話/鯛
佳作 テーマ詠「セリフの入った短歌」 北原有選
映写機のように朝日が差し込めば無職の日々に解釈の余地/あひる隊長
特選 9月の自選短歌 北原有選
大谷と言えばバイトのリーダーでお局様(おつぼねさま)と呼ばれていたっけ/古城えつ
特選 9月の自選短歌 北原有選
メロンパンは悪口ですか 来月の同窓会は出席します/tali
特選 9月の自選短歌 北原有選
もうあとは捨てられるだけのわたしとかインクの切れたボールペンとか/図書猫
秀作 9月の自選短歌 北原有選
他所行きの顔で狭いバスの席真実なんか知りたくなかった/円山すばる
秀作 9月の自選短歌 北原有選
等間隔に並ぶ人影踏み鳴らし私が17時をお知らせします/虚光
佳作 9月の自選短歌 北原有選
青色に塗り直された海がありみんなそうだよのみんなって誰/くぼたむすぶ
佳作 9月の自選短歌 北原有選
ふきんしん そんな名前の神様を信じる人に燃やされた本/高原すいか
佳作 9月の自選短歌 北原有選
ああなんか心が割れていたみたい こぼれた中身を丁寧に拭く/文月のペンタトニック
佳作 9月の自選短歌 北原有選
泣くほどに辛くはないし笑うほど優しくもない霧雨のなか/未知
佳作 9月の自選短歌 北原有選
それぞれに形があって君を待つ心はきっとポストのかたち/未知
佳作 9月の自選短歌 北原有選
はじめての彼女ができて僕史上最も許せる目覚ましが鳴る/猫背の犬
佳作 9月の自選短歌 北原有選
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ガソリンが値上がりしてる 虫たちが鳴き出すような自然な様で/淡島けのび
特選 自由詠 中島裕介選
仄暗きノイズの溶けた海響に52Hzのメーデーを聴く/ef
並選 自由詠 中島裕介選
よそびとの生きたほむらを浴びるごと己を定める輪郭の濃く/風吹く
並選 自由詠 中島裕介選
傷ついてゐたのだらうかあのひともからだのなかで虹を溢して/高田月光
並選 自由詠 中島裕介選
I have a dream きみのワイシャツにカレーうどんがはねますように/tali
並選 自由詠 中島裕介選
平行を拒否するように先生の板書は何度も空へと向かう/梅鶏
並選 自由詠 中島裕介選
「天の川氾濫危険水位です!両岸に居る二人は離れて!!」/みよおぶ
並選 テーマ詠「セリフの入った短歌」 中島裕介選
「どちらから来んさった?あんたあんまり見ん顔じゃねぇ」祖母の定型/ZENMI
並選 テーマ詠「セリフの入った短歌」 中島裕介選
この匂い、懐かしいって思うのね あなたの雨は止む方の雨/かきもちり
並選 テーマ詠「セリフの入った短歌」 中島裕介選
朝が来るたびに鏡に「児嶋だよ!」と十回叫ぶひとりの児嶋/音忘信
並選 テーマ詠「セリフの入った短歌」 中島裕介選
最果てに星はありやと手を延べてアステリスクの有意のひかり/眞木たまき
特選 9月の自選短歌 中島裕介選
ひみつには水色の蝶が棲んでいて遠くに広がる空を夢見る/佐竹紫円
並選 9月の自選短歌 中島裕介選
それはもう詩でしょう秋の入口であちこち折れた傘とわたしは/未知
並選 9月の自選短歌 中島裕介選
待ちわびた新刊買えばピッというスキャン音さえ半音高い/奥 かすみ
並選 9月の自選短歌 中島裕介選
触ればせで触れなば触れねながらえばいざようきみにいつか触れたい/十六夜/朔
並選 9月の自選短歌 中島裕介選
父の死に嗚咽していた母が今朝いつものように作る味噌汁/まさけ
並選 9月の自選短歌 中島裕介選