第8期ココタン卒業制作
[この記事はココタンをサポートしてくれている 歌人はゆき咲くらさん が編集してくれました]
ココタン卒業生の短歌作品発表です
ここだけ短歌(愛称、ココタン)シーズン8の皆さんが卒業となりました。ココタン卒業生による素敵な作品を発表させていただきます。
第一回のココタン卒業制作は、12月1日から1月31日までココタンに参加し、クラスの短歌リレーを中心に未発表作品つくりに取り組んできた皆さんの短歌です。
様々なところへご応募される作品作りという観点から、「発表してもいいよ!」とお知らせくださった皆さんが詠まれた作品1首と、一緒のクラスで印象に残った短歌を詠まれた歌人さんを教えていただきました!
[敬称略、順番はクラスごとランダムです]
短歌リレーで詠まれた作品
ココタンでは多数参加者をクラス分けさせていただき、そのクラスごとに「短歌リレー」をやっています。いちごつみよりさらにゆったりしたルールで短歌を詠みついできた短歌の一部をご紹介します。(ご参加希望された方のみのご紹介です)
第8期は、「水晶クラス」「真珠クラス」「翡翠クラス」の3つのクラスにわかれで短歌を作っていました。
水晶クラスの短歌リレーで詠まれた作品たち
霧雨に傘をさそうかさすまいか涙拭くのを迷うみたいに/藤瀬こうたろー
さよならは唐突に来て俺たちは火傷しながらたこ焼きを食う/山田すずめ
随分と日が長くなりひとひらの雪の重さに耐えかねている/案山子
長針が短針抜いて2週半 わたしはきょうも窓枠のモネ/楼瑠
日向にて気持ちよさそな猫を見て現実に追われていることをしった/めぐ
公園で喜怒哀楽を教わった 消えた遊具にイチョウ佇む/いふじしょうた
粉雪は波を立てないようそっと湖に降る、ボートは揺れる/一ノ瀬美郷
重さって命のことだ君がいたお腹の上が軽くなったよ/月立耀
足元に金の絨毯敷きつめて枝だけのイチョウ青空を刺す/水の眠り
あの駅は甘酸っぱくて降り立つと焦がしバターが香るシュゼット/はゆき咲くら
真珠クラスの短歌リレーで詠まれた作品たち
寒月へ不撓に枝を伸ばしても風の宥める梅の潜熱/塩本抄
大根に馴染ませていく出し汁の湯気に包まれ眠りにつきたい/ながしまけんた
君を腕の中抱くのみ得らねぬと優しく熱がぬくもり伝え/瑞野明青
逆光に溶けた背中が遠くなる景色となって絵の中の人/琴里梨央
気づいてた凍てつく1月寒い夜君が追うのは僕じゃないって/ユミヨシアユム
なぐさめはクレッシェンドの尖端がわたしの肌をつつくみたいだ/アカマツヒトコト
きみが書く文字はいわゆる悪筆で個性豊かな楽隊のよう/加藤万結子
翡翠クラスの短歌リレーで詠まれた作品たち
理科室の人体模型はいつだって僕の話を聞いてくれてた/泰源
オーヴァチュア鈍色の空を切り裂いていく誇らかなきみの歌声/碧乃そら
窓辺からポトスが顔をのぞかせて新芽を開き空を掴んだ/古城えつ
印象に残った歌人さんは?
印象に残った歌人の筆名>その歌人さんに対する他の人からのコメント
一ノ瀬美郷 >私もこのような歌を詠めたらいいなぁと思った
月立耀 >すごく切ない歌でズキュンときました
楼瑠 >単語の選び方がファンタジックで素敵でした
山田まにま >印象的でした
山田すずめ >素直な感情がお歌に表現されて共感できました
古城えつ >さわやかな力強さを感じて好きでした
ながしまけんた >観察の鋭さ細やかさに目を惹かれました
アカマツヒトコト >素敵な一首だなぁと思いました
水の眠り >共感のできる歌が多かったです
いふじしょうた >軽いタッチの歌の中にしみじみとさせられる部分がある
碧乃そら >爽やかさ、歌の雰囲気に共感しました
琴里梨央 >〇〇の歌がとくに印象的でした
加藤万結子 >かわいらしく愛に溢れてて素敵でした
藤瀬こうたろー >言葉の滑らかさ、情景が浮かぶ歌、こんな風に詠んでみたい
塩本抄 >描写の細やかさが印象に残りました
瑞野明青 >効果的な作品をつくる確かさで選ばせていただきました
まとめ
皆さんご参加ありがとうございました!
シーズン8のココタンは年末年始を挟んだ期間でしたが、およそ2か月で50首ほど作品をストックされた方もいらっしゃるとか。クラスで印象に残った歌人さんの理由を挙げられていた方も多かったので一部抜粋してご紹介させていただきました。
安心して短歌を詠み、作品を生み出せるよう運営サポートチームでは様々なことに取り組んでまいります。テーマ詠なども随時ご紹介を予定しております。
ここだけ短歌(愛称、ココタン)は非公開の少人数短歌グループを作り新作の壁打ちなどをおこないながら未発表扱いの短歌作品創作をおこなうという企画です。短歌コミュニティ「A短歌会」の中で開催されています。
ココタンでは応募数にあわせ数名の創作グループ(クラスと呼ばれています)をつくっています。グループ内で題詠やいつごつみなど短歌作品を積極的につくる企画が提案され、感想の交換も活発におこなわれています。ここでやりとりされた作品は未発表扱いです。未発表作品ストックをつくっていきたいけど見てもらう人も欲しい、それをネットでやりたい、という方のご参加をお待ちしております。
ココタン第8期卒業生が今後もすばらしい短歌を発表していくことを楽しみにしています(A短歌会サポート一同)
(文・編集・まとめ はゆき咲くら)