A短歌会の「映画短歌空間」のメンバーで映画『ゴールデンカムイ』の短歌を詠もう! ということになり、映画をみた「もくめ」+「はゆき咲くら」の2名で記事を書くことになりました。歌人のtoron*さんも映画『ゴールデンカムイ』をみたとネットで発言していたので誘ってみたところ快諾いただき、3名で短歌の連作をつくることになりました。
■もくめの映画『ゴールデンカムイ』短歌連作
雪原 もくめ 瞳孔が開いたままで咆哮す 生き延びていく先を見据えて 極寒の川に飛び込み銃弾を捜すお前と取り引きをする 縛られて椅子に座ったまま跳んで男二人をのしてく不死身 カリスマと狂気の人を頂きに軍人として没していこう 雪原を二人で走る 相棒になりゆく軌跡 残る足跡 (連作・もくめ 映画『ゴールデンカムイ』を観て)
映画『ゴールデンカムイ』は私にとっては大満足の出来でした。
冒頭の日露戦争の圧巻の描写。
杉元のアクションの迫力。
凛としたアシリパさんの表情。
北海道の自然と動物たちのリアリティ。
美味しそうなアイヌの料理。
お話としては、主要な登場人物をかっこよく紹介しつつ、「俺達の冒険はこれからだぜ…!」という感じなので、ぜひともこの熱量を保って続編を作って頂きたいと思いました。
大迫力アクション映画をぜひ劇場でご覧ください。
◯もくめプロフィール
2020年11月から短歌を始めました。ヨミアウとA短歌会に参加しています。Xのスペースで朗読をしたり、noteに歌集の感想を書いたりしています。趣味は読書です。
■はゆき咲くらの映画『ゴールデンカムイ』短歌連作
約束 はゆき咲くら 待たせてる約束だけが生きていい生きるんだよとこだましていた 静寂な闇夜にそそぐ一筋がウェンカムイを狙い定める 弱い奴は食われるそれで上等だ やられる前にやるだけのこと くくり罠 目玉 脳みそ リス ウサギ クチャでチチタプ ヒンナヒンナ 忘れてた「人」であること「さん」つけて名前で呼ぶよ 行こう、一緒に! どこの世界も同じであろう 愚かとて 世界はまるで終わりの果てで 真っ白に厚く積もった雪山が二人をつなぐ カムイとともに カント オロワ ヤク サク ノ アランケブ シネプ カ イサム (連作・はゆき咲くら 映画『ゴールデンカムイ』実写版を観て)
「カント オロワ ヤク サク ノ アランケブ シネプ カ イサム」
この言葉は、映画オープニングとコミックの袖に書かれているメッセージです。
母方が樺太生まれのせいか、はじめてアイヌ民族を調べたとき、親類と顔かたちがよく似ていて、もっとアイヌを知りたい!そう思うようになりました。下記に掲載している雑誌などは金塊のような私のお宝です。私の亡母の名前は実はヒナといいますが、ヒンナ(アイヌ語で食べ物に感謝する言葉)が名前の由来じゃないかと、そうならいいなと思っています。
『ゴールデンカムイ』の原作コミックはすべて読んでいますが、とても丁寧にアイヌの世界を描いているので、実写化が話題になったときは、どこまでをどれほど描いてくれるのか、キャスティングも含めて期待と不安がずーっと頭にあったんです。
それでいうと、いいですか、私はすでに2回ほど映画館にて鑑賞しています。おそらく、このあともまた観ます、いや絶対に観ます!
映画『ゴールデンカムイ』は、すべての人の期待を裏切らないといっていいと思います!
映画『ゴールデンカムイ』は、原作コミックだと3巻の三分の一くらいまでとなります。つまり、かなり贅沢に、もっともっと知りたかった、杉本とアシリパさんが描かれています。映画館も会場の大きさや音響システムなどスクリーンにより様々ですから、実写版で、しかも映画館で、今しか観れない、映画『ゴールデンカムイ』を、ぜひ皆さまにもご堪能いただきたいと思います。ということで、映画関係者ではございませんが、今回も短歌を詠ませていただきました(もう最高としかいえない!)。
映画館でご覧いただく際は、くれぐれも、会場の照明が灯るまでは席を立たないように。
登場人物を心のすみずみまで焼きつけてお帰りください。
◯はゆき咲くらのプロフィール
占いとスピリチュアル。仕事も趣味もそれだけだったある日、ふと目にした短歌に恋をする。短歌に心奪われて以来、祈り、花を愛でる、一日一短歌。A短歌会に参加しています。
X:@8yuki_3kura
■toron*の映画『ゴールデンカムイ』短歌連作
ライフ toron* 銃剣でかきわけてゆく雪原に芽吹かぬ種子として砂金あり ヒグマには捨てるところがなく、人は背中の皮だけ地図になりゆく 殺すな、とあなたは正気そのもので影までしんとホロケウカムイ 生皮に彫られた地図を剥いでいる自分と罪人の紙一重 腑分けした手のあたたかさ生きるとは誰かの命で暖をとること これからもあなたは殺さないでいいその眼の奥の森林限界 死にたいと思えぬことは誰の意志 人のごとくにニリンソウ立つ (連作・toron* 映画「ゴールデンカムイ」を観て)
原作と並行してアニメも観ていて、そちらもかなり原作に忠実に丁寧につくられていたので、今回の映画化の発表はかなり胸がざわつきました…正直「まーーた、漫画のキャラに山崎賢人か…ってゆーか、登場人物全員マッチョになれるのか…」みたいなネガティブでしたが、冒頭のアクションシーンから素晴らしすぎました。個人的に、特に旅順の塹壕のシーンは圧巻でした。
もともと玉木宏が好きなのですが、作中でいちばん好きな鶴見中尉を演じていたのもたまらなかったです…クールと狂気とユーモアが凝縮されていました。
今回の映像化はマンガではまだぜんぜん冒頭部分なので、これからのエピソードもめちゃめちゃ楽しみです。鯉登少尉もはやく観たい…!
◯toron*プロフィール
大阪府豊中市出身。現在は大阪市在住。Twitterで短歌に出会い、2018年4月からウェブサイト「うたの日」に投稿をはじめる。新聞歌壇、雑誌などへの投稿をしつつ、現在は塔短歌会、短歌ユニットたんたん拍子、Orion所属。
X:@toron0503
毎日お題プラス で『ゴールデンカムイ』の短歌を募集中
「#毎日お題プラス」でも『ゴールデンカムイ』をテーマに短歌を募集中です
みなさんの投稿をお待ちしています
■映画『ゴールデンカムイ』について
映画『ゴールデンカムイ』の短歌は以上です。この記事を読んで気になった方はぜひぜひ鑑賞してみてください!
(映画短歌空間)
■「映画短歌空間」について
映画短歌空間は、「A短歌会」の映画好きメンバーでおこなっている活動です。映画の試写に参加して新作映画をいちはやく短歌にして紹介したり、過去の名作を短歌+散文で表現したりしています。興味ある方はA短歌会にご参加ください。配給さん、代理店さんなど、映画・映像作品を短歌で紹介してもいいよ、という方からのご連絡をお待ちしております。(メールで tankazine@gmail.com までご連絡ください)