短歌朗読ラジオ むとう氏選 作品一覧 (1月12日放送分)
毎日お題シーズン2に投稿された短歌から、むとうさんが選んだ作品の一覧です。これらの朗読とコメントを短歌朗読ラジオの音声配信でおこないました
毎日お題 シーズン2に寄せられた多くの短歌から 朗読者むとうさんに気になる短歌を選んでもらい、朗読+コメントしていただきました。
【音声配信の様子はこちらから聴くことができます。ぜひ朗読もお楽しみください】
■朗読した作品一覧
テーマ「カリスマ」より
玄関を出れば泳いで帰るのか君の名前はカリスマ営業マン/藤本くま 大量に背中についたチョーク粉カリスマ教師ここに君臨/あだむ 星座にもなれぬ星屑と綺羅星うまれる前に決められていた/睡密堂 断層を鷲掴みにして放り投げ邪魔だ通せと地下のカリスマ/祥 カリスマの君は私のグーに勝ち飲み代はゼロ プライドもゼロ/良い天気 たくさんの蝶をはべらせ咲く花が 僕だけのものなら枯らすのに/よしなに 暖冬にカリスマ美容師が通る公園にしげるシロツメクサ/睡密堂 神様に愛されることは人間に愛されづらいこととトレード/遠藤ミサキ ふくふくの赤子の頬は肉まんのカリスマだから食べてしまえり/水川怜 天使だよ砂糖菓子のね口づけをしたら溶けちゃうカリスマの君/硝子 仮初めの告白だから聞かないでこの人はまだカリスマじゃない/短歌パンダ
テーマ「大人」より
大人にはなれない俺は昔からずっと俺だしアイスも好きだ/酒田飲盛男 朝おきて鏡を見たらヒカヒカの大人になると信じてたよね/ななしこ 大人でも子供でもない思春期はラズベリー味マーブルの色/りんか 「今日夢でSwichやった」おねだりに大人の話法まじえて吾子は/水川怜 スパゲッティ上手に食べられなくたって大人になれる なってしまうの/奥 かすみ 「おとなって、いったいなあに?」「ああ坊や、お酒が飲めるだけの子供さ」/Tsugumi 大人って思ってたより大人じゃない 我慢できずに踏む霜柱/よしなに 丸筆を愛に浸してゆったりと色も使わずスミレ描く人/語りたがり 騒がしい大人が全員黙り込む吸っていけない風が吹いたら/kikugen 大人しいひとと言われて貴方には生(あ)れたばかりの炎は見せぬ/くらたか湖春 大人でも涙をこらえる日はあるしゴリラに追いかけられたら怖い/汐留ライス 似た家が建つ町になりわたしたち大人のほうが長くなったね/小石岡なつ海 泣きながら目覚めた時に駆け寄れるおとなを今も探してしまう/もくめ
テーマ「夢」より
やらかくてあたたかくあってすこしでも。会うことのないきみの見る夢/鯛 文集に書いてた夢はアナウンサーそんなこととは夢にも思わず/月乃さくは 明晰夢海辺の街の堤防の母の姿は十五の少女/ツキミサキ 夢なんて 架空にすぎないと言われた 叶ったらリアルになれるかも/莉子 腕枕されてみる夢あったかくやさしい中身もちろんヒミツ/間之口葵一 寝られずに君の言葉をなぞるよりご都合主義の夢で逢いたい/唯有 あなたは少女のままだからカクテルに星の欠片をいれてあげる 夢/きらとね美希 忍ぶれど夢にいでしか君の影 待宵の月我も会いたし/十六夜/朔 月の裏まで跳べるほど超絶の小籠包を食べてみたいよ/史 邯鄲(かんたん)の夢で良いから寒空に目を開けるまで見せてくれないか/綿鍋和智子 夢果ててのこりし想い託し弾くチェロの音ふかく夜に滲みゆく/一福千遥 夢の中あなた泣いてる泣き顔も知らないくせに泣かせてごめん/吟良 真夜中に太陽の光浴びるため人間は夢を開発した/良い天気 すらすらと君が好きだと言えたからこれが夢だと気づきたくない/階田発春 バレてるぞ!食べたんだろう?ぼくの夢 獏のゲップがあのコのかおり/よしなに はじめての一人暮らしで見る夢が家族総出演で笑った/もくめ 夢のごとまばらにひかる星団をそっと抱えて蟹座は眠る/くらたか湖春 京葉線までの果てなきディスタンス遠くにみえる夢ほどきれい/みくに ふかふかの布団で夢みるフジロックフェスのソックス履く夏の日を/とらうと 友情を守り通した僕たちが夢ではうまく恋人になる/あひる隊長
テーマ「再」より
新春の再放送は終わらない未明にかすかな謎を残して/糸瓜 いまいちで再試行した世界にも三日で飽きてまた再試行/宇井モナミ 再び出会えた 再び出会えたね 度々びっくりドンキーの前/とらうと 再利用できないようなものばかり集めて街に築くバリケード/汐留ライス 2Bで書く不揃いな「再」の字を電車のゆるキャラみたいだと言う/良い天気 更新のお知らせ通知を受け取って四季が二周したことを知る/月乃さくは 結晶の形のように詩について再現性は低いほどよい/Sand Pawns 一度だけ二度目はないの今ここで言葉交わせる普通の時間/春永睦月 地球には望まれてないエコ手芸ゴミからゴミを生み出す技術/ぐりこ 関係の再構築は難しくレゴのようにはいかない二人/宮緖かよ 再販を心待ちした本が今 手にあることを幸せと呼ぶ/桐子 「あたし達、ズッ友だょ」と誓い合う 数学の再試験場にて/Tsugumi 文字躍る「再雇用は最高よ!」信じていいのかハローワークを/どうした きっとこの月が琥珀になる前にまた飲みましょうクリームソーダ/つぐみざき あさひ 感動の再会にしたいはずなのに出会いがいつも吉野家になる/階田発春 マフラーを再び編む貴方との別れの哀しみ封じ込めるよに/アサコル 再会を喜ぶ人にコタロウは犬違いだと言えずにじゃれた/あかい あめ なぁ親友また釣り行こうよ無理だよな、でももし来世で再会したら/野口み里 止まってた時間が動き出している君が再生ボタンとなりて/ゆひ あなたとはもう再びは要りません一つになって生きてゆくから/日暮愛葉 新しい恋をしたかのごと触れる手帳とともに今年を生きる/虚見津山都(そらみつやまと) 変わり映えしない暮らしの窓際で豆苗だけが再び育つ/くらたか湖春 もう何度再生したかわからない「またね」と言った逆光の君/未知 美しく再生できぬケロイドも十年経てば誇りに変わる/水川怜 ペンギンが再び空を飛ぶ頃に君の涙は化石に変わる/睡密堂