[編集部より]この記事は短歌技研の田 幸樹枝さんが執筆しました
短歌+まんが。一緒に「短歌まんが」をつくってみませんか?
■「短歌まんが」をつくろう
こんにちは。短歌技研の田 幸樹枝です。
ここでは、只今、A短歌会の短歌技研で研究中の、短歌+まんが「短歌まんが」について、わたくしなりの方法を解説しつつ、読者の皆様の「短歌まんが作成」のお手伝いが出来ることを目指しています。
出来上がった「短歌まんが」は、主にXの投稿に添付して実験しています。Xでは、コマ割りまんがが話題になることもしばしば。また現在、X上の短歌は文字情報を中心に発信されていますが、視覚に訴える情報がプラスされると、なぜかより訴求効果が高まるという話をしていました。ついついよんじゃう、という反応が欲しいところなんです。短歌技研でも、さまざまな研究が行われていますが、そんなわけで、今回は短歌のまんが化に着目しました。
まずは、言うよりも易し、どんな短歌まんがに仕上がったのか、見ていただきたいと思います。
(以下、画像にはcanvaの生成AI画像を使用しております)
・馬場あき子さんの短歌より
まずは、4コマを作ってみました。A短の深水英一郎さんのアイデアで、以下、コマ数を減らしてみました。
・「長谷川麟選:第7回毎月短歌連作部門」一席 とらうとさんの短歌より
確かに、コマ数を減らした方がはっきりします。
・「北原有選:第6回毎月短歌」特選 水の眠りさんの短歌より
AIには、「とても大きな木」と指示しましたが、出来上がりはこんな感じです。
・与謝野晶子さんの短歌より
「おごり」の春のイメージ、少々難しく、、、
・自作短歌より(田)
キャラを女の子からねこに変えてみました。
・自作短歌より(田)
鳥の生成も、つばさ美しく、まずまずの結果でした。
・自作短歌より(田)
スポーツカーは、車種が分かるくらいの生成力ですね。
[作り方]
つぎに作り方です。WEB上にある、生成AIを使用した「誰でも作れる生成AI 4コマ漫画」についての解説サイトは、検索していただきますと、いくつか上がって来ます。その中から、わたくしが今回試した2つの方法をご紹介します。
1. 画像生成からコマ割りまで一括して1つのAIで生成する。
chatGPT4で生成する。(おまかせなのでクオリティーは低い)
comicaiで生成する。キャラクター設定、画像の微調整も可能。(無料会員は保存できない模様)
2. 画像生成AIで作成した元絵(元にする絵)を用意して、別に、コマ割りサイトでまんがを完成させる。2つのサイトを使う。
今回使用したサイトは、画像(canva)コマ割り(frameplanner)です。但し、制作中にcanvaは無料クレジットの上限に達してしまいました。無料の限界もありますね。そのため、以下の解説は、わたくしの手書き元絵で解説を失礼させていただきます。元絵は、canva以外の生成AIを使用してもいいですし、手書き絵でもOKです。
関連サイトリンク
comicai(Comicai)
canva(Canva)
frameplanner(FramePlanner)
まずは、元絵を用意します。上掲の「コマ割りまんが」は、どれも元絵を2枚用意しました。最初に、「短歌まんが」にしたい短歌から、自分でその情景を2場面想像します。生成AIが描いてくれますので、おおまかで大丈夫です。
例として、「長谷川麟選:第7回毎月短歌・連作部門」一席 とらうとさんの「coming off the なんちゃらってなんだっけ(ヨギボーにハグされながら)」を引用します。こちらの短歌から、①部屋に座って考えている女の子、②クッションにもたれている女の子、の2つのイメージを用意することにしました。canvaで出来上がった①の元絵はこちらです。
ちょっと目がウルウルしているのでしょうか。この画像生成に使用した呪文(プロンプト)は、簡単でして、お恥ずかしながらご紹介しますと、「部屋のなかで考える仕草をして座っているピンクの髪のアニメねこ娘」です。こんなザクっとした感じで大丈夫です。(さすがにAIは、ヨギボーを知りませんでしたので、大きなクッションなんちゃらと指示しながら、②の元絵は苦戦しました)
また、FrameplannerはPNG形式にしか対応していないので、出来上がった元絵はPNGで保存してください。
つぎに、コマ割りです。Frameplannerのスクリーンショットを基に解説します。
[Frameplannerの使用方法]
・初期画面です。画面サイズは個々の端末によって違いますので、はみ出ている場合、まず、ツールボックスにある画面表示を100%から50%にしてください。
・縦に分割、横に分割というツールを使って、コマを割ります。
・出来上がったコマに、元絵データをドラッグアンドドロップします。
・コマに入れた画像を移動したり、コマ割りを調整します。
・ドラッグして吹き出しを作成します。フォントサイズ、縦書き/横書きなど、調整できます。
・完成したら、ダウンロードします。
出来上がりです。いかがだったでしょうか。わたくし個人的には、吹き出しの配置などが楽しかったです。こんなように、ご自身の短歌でも「短歌まんが」が出来上がりましたら、ぜひぜひ、Xに投稿してみてはいかがでしょう。
以上、駆け足になりましたが、「短歌まんがの作成方法」について解説しました。
まだ、一瞬にして作れる、というところまでは行きませんが、絵が描けなくても、コマ割りまんがが作れる時代になりました。まんが化するときには、イメージが飛躍します。今回の方法は、人間がイメージしてAIに指示を出すという方法でした。短歌の作歌は、まずイメージを言語化するところからはじまります。それを逆輸入ではありませんが、さらにまんがに変換する作業は、何度もイメージを翻訳し直している作業なのかも知れません。短歌まんがが、短歌の鑑賞のひとつの試みになってくれるといいなと思います。みなさんも短歌まんがを作ってみたいという気持ちになっていただけましたでしょうか? ぜひぜひ、Xの投稿などに活用してみてください。
【文・田 幸樹枝】
(短歌を引用させていただいた、馬場あき子さん、とらうとさん、水の眠りさんに感謝いたします)
[編集部より]短歌まんがに関する議論は、短歌創作コミュニティ短歌空間の「短歌技術研修空間」や、短歌マガジンコミュニティでおこなわれています。興味ある方はご参加ください。