ちいさなきづきを集めて言葉にしています。
ちいさなきづき
「振ってからお飲みください」振ってたらどんなおいしさだったんだろう
[字・ニョグさん]
玄関の隅に置かれてどんぐりは最後のいってきますを見送る
一日で出来ることなど少なくて少なきことを積もらせてゆく
コンポタのさいごに残る一粒のようにたまたまいい場所に居たい
皿にのるちょうどの体長だったからおかしらつきでのせられている
一生に一度きりでも神様にとっては覚えきれないほどの
冷えきっていてもガラスはあたたかい朝のひかりをきみに届けた
旅先のもう二度とこない商店のたまるわけないポイントカード
生年と産地が近いそれだけで魚群のような卒業写真
行列はおじさんばかり雨の中おじさんの好きなものへと続く
ヤンキーもガリ勉くんも担任も転校生も母に似ている
空の色は青か黒かを決めようと神があつまり見上げてる星
境界をふみこえるときカーナビは誰より旅を楽しんでいる
ふりまわし弧を描きつつ手をはなす飛ばされてゆく方が外側
君ですか君じゃないです初めての連絡網の最初で詰まる
落し蓋はその身を挺し囚われた味を逃さぬ蓋中の蓋
やみつきといわれて食べていうほどにやみつかなかったときのインスタ
絶好のタイミングっていつも「今しかない」のほんの少し前
冒頭10分で面白いと感じない映画はなぜ最後まで面白くならないんだろう
[短歌ではない]
クラウドに完成した作品が続々と吸い上げられる
ローカルの記憶領域はまるで巨大なゴミ箱のようだ
[短歌ではない]
重い荷を背負って遠い道を行かずに攻略でなんとかしたい
なぜだろう街で生まれすごしたのに波のリズムがしみついている
「ひさしぶり」と言ってすぐにうつむいて遠くのひとと話しはじめた
エンドロール出たが涙は出てこない泣ける理由をネットで探す
昨日 今日 明日と時間は名を変える変われないままの二人乗せて
他のビル見下ろせるほど高いビルその目線からチャットで謝罪
そなえられあなたの最期を彩った花にとってもこの場所は墓
ぼくたちに言葉がいらなくなったときスマートフォンは役目を終える
働くとは
労働をお金にかえることではなく
社会のなかで役割をはたすこと
[ことばの断片]
◯ #ことばのフリー素材
[わたしの詩・短歌・ことばの断片はフリー素材です] わたし(深水英一郎)の作品は自由に複写・転載・転送・二次利用可能です。自由に使っていただいて構いません。無断引用歓迎です。パクって改変していただいても問題ありません。気に入っていただけた短歌にイラストをつける、写真をつける、動画に入れる、楽器を鳴らす、アニメーションさせて動かす、botにツイートさせる、AIに学習させる、自分が作ったと言って友達にみせる、など自由に発想してご利用ください。
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◯作者プロフィール
作者: 深水英一郎(ふかみえいいちろう)プロフィール、連絡先はこちらをご覧ください。