短歌を普段の生活の中でつくっていきたい、という方のために、できるだけ簡潔に短歌のルールを整理したページです。まずは基本中の基本から。
短歌とは57577の31音でつくられる詩
短歌(たんか)とは、57577の31音でつくられるとても短い詩です。
短歌の基本ルールはたったそれだけ。非常にシンプルなんです。
季語は不要
短歌に季語は不要です。
季語が必要なのは、575の俳句(はいく)です。もちろん短歌に季語をいれても構いませんが、短歌に季語を入れなければならないというルールはありません。
短歌の音のかぞえかた
短歌の57577は、文字の数ではありません。音の数なんです。
音の数え方は以下の通り
伸ばし棒「ー」は1音
音をのばす「ー」(長音)は、1音として数えます。
声に出して読むとよくわかります。声に出すと長音は、一定の時間を占めますよね。
例えば「あ」より「あー」の方が2倍の時間を占めますから、そこに2音あると考えます。
よって「あ」は1音、「あー」は2音と数えるのです。
小さい「っ」は1音
小さい「っ」(促音)は、1音として数えます。
これも声に出して読んでみるとわかりやすいです。
例えば「かこう」と「かっこう」をゆっくり声に出して読み比べてみてください。
小さい「っ」のところには、音楽の休符のように、一音分の空白(無音)があるのに気づくでしょう。
つまり「っ」は1音分の時間を占めるので、1音として数えます。
ちょっと音楽に似ていますね。
その他の小さい文字は数えない
「ぁ」「ぃ」「ぅ」「ぇ」「ぉ」「ゃ」「ゅ」「ょ」などの、「っ」以外の小さい文字は、数えません。
前の文字とセットで1音、と数えます。つまり「きゃ」は1音です。
声に出して読んでみましょう。
例えば「きく」と「きゃく」。声に出してみると、読み終わるまでの時間は同じです。
ゆっくりリズムをとって声に出すとよくわかりますが、「き」と「きゃ」の音にかかる時間は同じです。
ですから「き」は1音。そして「きゃ」も1音なのです。
経過する時間やリズムが重要、というところ、やはり音楽に似ています。
記号は数えない
短歌によっては「、」読点や、括弧「」『』()〈〉«»、!?といった記号が使われる場合があります。
これらは特に断りがなければ数えません。0音です。
音の数え方については、これだけです。迷いがちな「っ」は数える、「ゃ」は数えない、だけ覚えておけば、あとは感覚でもわかるのではないかと思います。
ここまでのシンプルなルールで、短歌は作れます
要するに、57577の31音で季語が不要。これだけ覚えたらもう短歌を作ることができます。めちゃくちゃシンプルなルールです。とはいえ、作り出せば非常に奥が深いです。ルールは簡単ですが、良い短歌を作ろうとおもうと、なかなか難しい。それが短歌の面白いところです。
さて、ここまでのシンプルなルールで短歌を作ることはできますが、以下、つけたしでいろいろと説明しておきます。軽く目を通しておいてください。このページをブックマークしておけば、いつでも再確認できますので、ブックマーク推奨です。
俳句や川柳との違い
俳句・川柳とは音数が違います。俳句と川柳は575の17音です。俳句は季語が必要ですが、川柳と短歌には必要ありません。
短歌は改行を入れない
短歌は基本、改行を入れずに書きます。特に入門したての方は改行を入れないようにしましょう。
著名な歌人で改行を入れている方もいますが、それは応用編だと考えて、最初からいきなり改行を入れないようにしてください。
意図があるとき以外は空白を入れない
空白を使うこともできますが、意図があって使われています。どういう意図があるのか自分で説明できるようになるまでは、空白は使わないようにしましょう。
初心者で、すべての句の間に空白を入れるかたをよく見かけます。おそらく、自分の詠んだ短歌がちゃんと57577の定形になっているか不安な時期があるのだと思います。
短歌は通常空白を入れずに表現されるため、空白が入っているとなにか意図があるのだと考えられてしまいます。
上の句と下の句
最初の575までを上の句(上句、かみのく)、最後の77を下の句(下句、しものく)と呼びます。
「初句」「2句」「3句」「4句」「結句」
57577それぞれに呼び方があります。最初の5音が「初句(しょく)」。次の7音が「2句(にく)」、次の5音が「3句(さんく)」、次の7音が「4句(しく)」、最後の7音が「結句(けっく)」です。
「初句(しょく)」と「結句(けっく)」だけ覚えればOKです。
旧かなづかいで書くのですか?
あなたの普段の書き方と同じで構いません。短歌は詩であり、あなたの中から生まれるものです。あなたがいつも新かなづかいで書いていて、それが自然なら、それで書くべきです。
古語を使って書くのですか?
あなたが普段古語(文語)で読み書きしているのであればそれで良いかもしれません。 がおそらくそうではないと思います。あなたにとって自然な現代語(口語)で書きましょう。
記号は使えますか?
なんでも自由に使えます。()、「」、《》、[]、!?、句読点(、。)など。記号は音数を数えません。
アルファベットや数字は使えますか?
自由に使うことができます。アルファベットや数字は音数を数えます。
さて、おおむね短歌のルールが把握できたのではないでしょうか。
ルールは軽く読んで、わからなくなったら見返すぐらいで良いと思います。まずは実際にたくさん短歌を作ってみましょう。そうすれば自然とルールは身につきます。