■あたたかいだけでにやけるへんなひと
寒い……寒い……と思いながら過ごし始めて5ヶ月ほど経っただろうか。今日ははじめてその檻から解き放たれたような気がする。あたたかいと見せかけて実は肌寒い、みたいな日に裏切られつづけてきた。冬、長すぎ。冬というか、寒いと思わせる気候、春だろうが秋だろうが長すぎ。ゆるしがたい。暖冬というわりには毎年ふつうに寒いっす、とほんのり抗議しながら年度末を迎えています。
ぶーたれてもしかたがないので、あたたかさを寿ぐ日にしたいと思う。窓を開けても平気な気温であることがうれしくて、なんだかにやにやしてしまった。Google Earthに引き抜かれてたら完全にあぶない奴になるところだった。最寄り駅の近くには桜がきれいな公園があって、開花状況をWebサイトでチェックすることができる。例年ならもう咲き始めているころだけれど、今年は下旬にやたらと冷え込んだので(ほんまにもう😠😠😠)まだ蕾らしい。あたたかくなると咲くってかわいいな、などと傲慢なことを思ってしまった。花だって生きものなのに。なんなら年中お外でがんばっていてほんと凄いなと思う。こちとらプール通いを冬になった途端中断したのは、内密にしておきたい。
いまは自転車の民なのだが、気温が上がるだけでもうめちゃめちゃ気持ちが軽い。信号に引っかかっても仏の顔で待てるし、ゆっくり漕いでも身体が8割に縮こまらないし、うっかり寄り道なんかして流れるように迷うという定番コースもわりと前向きに堪能できる。寒いとコートも分厚いのをふごふごと着用、マフラーもごもご、さらに手袋……と重装備になる一方、早くあたたかいところへ!と死に物狂いで漕いでいたので、なかなか大変でした。急いだとて、この脚力ではそれほど速くはないのが現実なのですが。気持ちの問題です。
あたたかくなっても、外出時はなんとなくマスクをすることが多いので、うっかり独り言もつぶやいてしまいそう。特に自転車だと、歩行者の方には聞こえにくいだろうという都合の良い思い込みのもと、ちいさーく鼻歌を歌ってしまいたくなる。もしかして聞こえちゃってるのかな。夜遅くに爆速チャリ&大声で何か歌らしきものを発しながら近距離ですり抜けていった青年に出会ってからは、あまり人を驚かさないようにしようと気をつけてはいます。早くお花見がしたいですね。花より団子より花、と立ち返られる大人になりたい。
【文・石村まい】