話題の歌集・歌書をピックアップし、ネットのみなさんに著者コメントをお届けするコーナーです。今回は、第二歌集『ハンチング帽のエビ』を上梓された 歌人岩倉曰さんにコメントをいただきました。
◯どんな歌集?
岩倉曰の第二歌集です。
大体六百首くらいを文庫本にぎゅっとまとめました。前作『harako』(TMYMbooks)と異なり、連作形式で掲載しています。
作者はできないことのだらけの人生になんとか折り合いをつけていこうと足掻いている根暗です。
自分も根暗だな、と思ったことがあるどこかの誰かに届いて、ちょっとだけでも笑ってもらえたら嬉しいです。
◯自選6首
エビだから似合わないとか気にせずにかぶればいいよ、ハンチング帽 6月の湿気で増えた犬がいてすれ違うのが大変だった スーパーの犬のおやつがおいしそうわたしのごはんは炊かないと無い 老人と海とアワビの密漁者みんな違って密漁はだめ もっともっと冬になってく弁当のお金を預かったまま忘れて タイ人に直接習ったタイキックしに行くまでは元気でいてね (歌集『ハンチング帽のエビ』より)
◯歌集タイトルの由来
まとまった作品を出すときは海産物が由来のタイトルにすると決めています。わたしは蟹が大好きなのですが、海老の短歌の方がよいものができる気がしています。そこで、なるべく明るい歌から取ってこのタイトルになりました。
◯掲載作品の初出
X(旧Twiteer)、うたの日、かばんを中心に投稿した作品をまとめています。
◯特に印象に残っている短歌は?
6月の湿気で増えた犬がいてすれ違うのが大変だった
粘菌歌会第51回「増える」にて、かみしのさんに採用していただいた歌です。谷じゃこさんがzine「ポワアン」にてとってもかわいいイラストにしてくださいました。この歌集の代表と言われたらこれかしら、という思いでおります。
◯制作は順調でしたか?
生来先延ばし癖があるため、Xで作ってますよ! アピールをしながらなんとかやりました。歌を並べてレイアウトを整える作業の苦痛なこと苦痛なこと。出来上がったものを手に取ってものすごく感動しました。
◯いつからつくりはじめたのですか?
去年のどこかでつくりはじめました。常に作って発表してないと忘れられてしまうぞという恐怖心やら前作より良いものを残さなければという思いやらに駆られてのことです。
◯歌集を編むにあたって意識したことがあれば教えてください
ざっくりとですがまとまりを作ることです。実景寄りのものと思い切り虚構に振ってるものは分けてます。違和感なく読んでもらえるといいのですが、どきどきです。
◯表紙デザインについて
ココナラで活動されている、かりそめさんにお願いしました。びっくりするほどわたし好みな、短歌でわたしが目指す雰囲気はこれです、という絵をいただきました。ジャケ買い歓迎です。
◯歌集制作に協力いただいた方は?
表紙絵のかりそめ様、銀河書籍(ニシダ印刷製本)ご担当者様。多大なお力添えをありがとうございました。
■著者情報
岩倉曰(いわくらいわく) @wakuwakuiwaku
・プロフィール
二〇一六年に作歌を始め、二〇一八年〜石巻市の若手短歌愛好会「短歌部カプカプ」所属。二〇二〇年〜歌人集団かばん所属。三度の蟹より蟹が好き。
■書籍情報
書名:ハンチング帽のエビ(はんちんぐぼうのえび)
著者:岩倉曰(いわくらいわく)
歌集ナンバリング:第2歌集
短歌収録数:大体600首
税込価格:1000円(税込、送料無料)
発行日:2024年1月22日
サイズ:文庫本サイズ
総ページ数:148ページ
装画:かりそめさん