こんにちは、深水英一郎です。先日おこなったTwitterスペースの延長線でブンサイ!管理人のはつきむさんこと木村八朔さんに、もっとじっくり回答いただきました。
(その時の音声アーカイブはこちらです。なお、このインタビュー記事は、このラジオの内容より「濃い」です)
ブンサイ!さんを巡る一連の大きな動き ― うねりと言ってもよいかもしれません。それをみたとき、わたしが直感的に感じたのは、紹介の切り口を変えれば、文芸はもっと活きるという希望のような感覚です。
それに気づいたときわがままにも、ブンサイ!のように紹介の切り口を変える企画がもっとたくさん出てきてくれたらよいな、などと妄想してしまいました。そうなればこれまでの見せ方では見えにくかった作品にも出会えるかもしれない…。
ともあれ、ブンサイ!が新たに生み出した「スマホ画面に収まる文芸」や作品との出会い。それを仕掛けた管理人はつきむさんへのインタビューです。どうぞお楽しみください。
質問者:深水英一郎 @fukamie
回答者:はつきむ(木村八朔)さん @hassaku1996
――非常にたくさんの投稿が集まっている「ブンサイ!」ですが、5月30日時点(オープン8日目)での状況はいかがでしょうか?
投稿数:3493作品
ブンサイ!公式Twitter数:1530
LINE登録者数:839
となりました!
(5月30日、オープン8日目、インタビュー記事執筆時点)
――これはすごい! この「ブンサイ!」というサービスの特色について具体的かつ詳細に説明をお願いします
最大の特徴としては創作者としても読者としても「偶然の出会い」が容易にできるところではないでしょうか。Twitterではなし得ないものかなと!
創作者はその出会いからファンが増えるメリットが。
読者は受動的に文芸作品が届くのはまだ無かった部分かなと思います。昔から今に至るまで、本という作品を能動的に読み進めるのが主流でした。
ただ、今のトレンドは「受動的」ですよね。僕もYouTubeのショートを延々見てしまうので(笑)。忙しい現代の人々がサブスクの流行りのサービスしかり、そういうものでさらに生活を豊かにしている。その中で文芸は「受動的体験」と相性が良いのかどうか検証したいところもありました。
――短歌だけではなく、短詩でもなく、詩でもなく文芸、とのことですが、どういう人達に集まって欲しいサービスなんでしょうか
文芸を愛する全ての方です!
読む方がいないとこのサービスが成り立たないので、読者の方を押したいところですが文芸の世界は面白くて。創作者は読み手でもあるんですよね。
僕は昨年11月、文学フリマに初めて行きまして。そこで創作者の買い回りがすごく多いなと驚いたんです。他の界隈にはない、素敵な世界だと思います!!
――カテゴリを混ぜることで生まれるいいことや悪いことがあると思いますが、このような形態にすると決断された決め手は何でしょうか
将来的に、すべての創作者が筆を折らない世界を目指しているのでそのようにしました。
短詩とは相性がいいのは感じていたのですが、いくら短歌ブームとはいえ短詩は創作者人口がまだまだ少ないです。小説だけ、短歌だけ好きだった読者、創作者の方がオールジャンルの魅力を知る良い機会になるように。
そうやってジャンルを超えてファンになっていくと、各ジャンルの新たな創作者人口も増えていくのかなと。
――例えばsuiuさんも複数ジャンル横断しています。プラットフォームがジャンルの壁を超えるのはこれから定番になっていくのでしょうか? それともたまたまでしょうか?
結論から言うと、たまたまですね(笑)
suiuさん、落ち着いた場所でおしゃれで、すごく魅力的だと思います。
suiuさんは短詩、ブンサイ!はオールジャンルなので厳密には違いますが、suiuさんの方が短詩好きな方にとってみれば見やすいし使いやすいのかもしれません(笑)
一方でブンサイ!については「新たな出会いの創出」という点ではオールジャンルにした意味があると感じています。創作者にとっては今まで届いたことのない層に届き、読者にとっては新たな魅力に気付ける。ジャンルの壁を超えるのも悪くはないはずです!
余談ですが、ファッション業界に例えるとsuiuさんは大人めなブランドだとすれば、ブンサイ!の完成系はユニクロだと思っています。(suiuさんにもユニクロさんにもおこがましいですが)
ユニクロ、服に興味のない層(服を選びたくない人)を取り込んであそこまで大きくなっていて。ブンサイ!は画像生成の質やデザインは伸び代ありですが、簡単にできて。そういったところでは今まで苦しかった作業が簡単にできる分、創作者も使いやすいのかなと思います!
――少し開発周りについてもおききしたいのですが、今回開発に関わっておられるTECHFUNDの中でどんな形で企画を通したのでしょう?
僕が働いている会社で新規事業をする中で、アクセラレータープログラムの一環でTECHFUNDさんにご支援いただいております。新規事業のメソッドから技術面等バックアップして頂いている形ですね。
――なるほど、この新規事業の最初の構想から変化なく今回の発表まで至ったのでしょうか。紆余曲折があったのでしょうか。
元々は「文芸専用のオンライン販売プラットフォーム」を計画していたんです。
文学フリマがたくさんの人に愛されているのは(1)「創作者や読者と対面で触れ合える」(2)「人の滞留・回遊がある」の二つだと思っています。(1)は無理にしろ、(2)はオンライン上でも可能だと考えています!
現時点で、販売プラットフォームとしてはBASEで個人商店のようなものが作れますよね。100人以上にヒアリングをしたのですが、その中で個人書店さんにもお話を伺って。
サイトを見せてもらうと、自費出版本〜有名著者のサイン本までめちゃくちゃ品揃えがいい!
「なのに売れないんだよね...」と仰っていて。その時に「どんな文芸の事業をするにしても、まずは人の滞留や回遊を作るべきなのでは」と考えたのが、「ブンサイ!」に至るきっかけでした。
――「ブンサイ!」がこうなったら成功だというイメージ(ゴール)はどう設定していますか。そして「ブンサイ!」を今後どうしていきたいですか?
綺麗事かもしれませんが、「すべての創作者が筆を折らない世界」を作り出せたらゴールなのかな、と思います。
紙本の出版数を減らさない。全国の本屋さんが潰れない。文芸を、ブンサイ!を日本のトレンドにする。大きなことまで考えるとキリがないですね!(笑)
ブンサイ!の今後としては、オンライン上のサービスに留まらず、オフラインにも踏み出していきたいな、と考えています。
今はあくまで試験版のブンサイをここまでご愛用いただいているユーザーの皆様と一緒に、「本屋のように心地よい文芸の街」を創っていきたいです!!
皆様、今後ともよろしくお願いいたします。
――最後に、TECHFUND Inc.さんからもコメントいただいておりますので、こちら掲載いたします
――ありがとうございました。 ブンサイ!の今後に期待しています。
文芸作品作成アプリ「ブンサイ!」
https://bunsai.app/
(インタビュー・企画:深水英一郎)